日本では、不動産の賃貸時に連帯保証人が必要とされることがほとんどであり、それが身寄りのない人々の賃貸住宅への入居を難しくし、大きな社会問題になっています。
この保証人制度なのですが、必要とされるのは賃貸住宅の契約時だけでなく、就職時や学校への進学時も保証人が必要とされるケースがあるのです。
現に、鹿児島県の県立高校では、入学に際し、保護者だけでなく保護者以外の第3者が保証人として必要であると定められています。
(誓約書)
第19条 入学を許可された者は,入学後10日以内に,保護者及び保証人連署の上誓約書を,校長に提出しなければならない。
(保護者及び保証人)
第19条の2 保護者は,次の各号に該当する者で,学校に対して生徒に関する一切の責任を負うことができるものでなければならない。
(1) 本人の父母,兄姉,後見人又は縁故者
(2) 成年者で,独立の生計を営む者
2 保証人は,独立の生計を営む成年者で,学校に対して生徒に関する一切の責任を負うことができるものでなければならない。
3 生徒は保護者若しくは保証人に変更のあつたとき,又は生徒,保護者若しくは保証人の住所若しくは氏名に変更があつたときは,すみやかにその旨を校長に届け出なければならない。
4 校長は,保護者又は保証人を適当でないと認めるときは,これを変更させることができる。
鹿児島県立高等学校学則第19条及び第19条の2
https://g-reiki.pref.kagoshima.jp/pref.kagoshima2/reiki_honbun/q701rg00000826.html
このことは単身で身寄りのない人だけでなく、身一つで逃げてきたDV被害者の子供の進学にも大きな影響を与えています。DV被害者の場合、被害から逃れるために以前の人間関係を断ち切ってしまっていることが珍しくありません。しかし教育機関に頼れる身内がいないことを説明しても、「決まりですから」と対応してくれない場合もあるのです。
昨年、やどかりを利用している片親世帯の利用者さんから「鹿児島県内の市立高校に進学するにあたって保証人を求められているが、どうしたらよいでしょうか」という問い合わせが入りました。
お話を伺うと、「DV被害から逃れるために以前の生活や関係を断ち切っていて、頼れる親族が誰もいません。子どもが高校に進学するのですが、学校から『保護者の他に第三者の保証人を立てて欲しい』と言われ、困っています」とのことでした。
いくらなんでも、学校が生徒に対して、絶対に保証人を求めるようなことはしないだろうと予想し、「学校に事情を話してあらためて交渉してみていただけますか?どうしても無理な場合は対応いたしますので」とお返事したのですが、学校は「必ずすべての⼈に保証⼈をつけてもらっている」と譲歩してくれなかったとのことでした。
そのため このケースでは、やどかりの理事長の芝田が個人的に保証人にならざるを得ませんでした。
学校に説明しても「決まりですから」と受け入れてもらえないということは、鹿児島県では、せっかく高校に合格しても、保証人が見つけられず断念せざるを得なかったお子さんも、もしかしたらいらっしゃったのかもしれません。
そう考えると本当に悲しいです。親の身寄りの状況が子供の進学に悪影響を与えてしまうのはとても理不尽です。
「この問題は是正が必要」と考え、何とかならないものか各方面でお話していたのですが、鹿児島県議会議員の⽶丸まき子議員が、2024年3⽉24⽇にこの問題について 県議会で質問して下さいました!
⽶丸まき子議員はDV被害者の⽀援についても取り組んでおられ、以前にやどかりに対して現場の支援の実態についてヒアリングして下さったこともあります!
そして ⽶丸まき子議員の質問に対して、県からは以下のような答弁がありました。
「近年DVや各種災害等からの緊急避難の状態にある⽣徒が⾼校へ⼊学する例も増加しており、保護者以外の者第三者である保証⼈をたてることが困難な状況も⽣じているところです。
このため県教委(鹿児島県教育委員会)では保護者を保証⼈とみなすこととし、制約書については記載を不要とする学則の改正を検討しています(13:25〜)」
やどかりとしても とても嬉しいです!!
今後は⾝寄りがない家庭の⼦ども達が学びたいと考えたとき、保証⼈という壁が⽴ちはだからない社会になっていけばと思います。
お読みいただき、どうもありがとうございました!
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2024年2月22日、やどかりサポート鹿児島ではシンポジウム「地域の支えあい、いかに生むか・いかに育てるか」を開催しました!
日本では今後高齢化が進んでいく中で介護を支える人材が低下していくことが予想され、これを支えるために地域の互助が注目されています。
このため、シンポジウムでは鹿児島県内で互助を積極的に行っている自治体ややどかりサポートの「互助の実践している立場から」の発表と、南九州市や鹿児島市・やどかりなど、「互助をコーディネートする立場」からの2つの立場から発表を行いました。
本記事では当日の発表やパネルディスカッションの様子をご報告させていただきます。
1,「互助を実践している立場から」の発表
①西之表市 古田校区区長 窪田良二氏の発表「『小さな福祉のまちを目指して』結の里の挑戦!『住み続けたいと思える地域になるために・・・』」
②やどかりサポート鹿児島の発表「やどかりサポートの支えあいについて」
続くやどかりの発表では、やどかりサポートで実際に行われている住民同士の互助の中身を、実際に互助を行っているやどかり利用者の城川さんと一緒に発表させていただきました。
互助をコーディネートする立場からの報告
③やどかりサポート鹿児島の発表「ピアサポーターとコミュニティについて」
互助のコーディネートについての発表の最初の登壇者もやどかりでした。やどかりは今、ピアサポーターのアウトリーチを進めていて、ほかの利用者さんやNPOとつながりが薄くなっている利用者さんとのつながりを強化しようとしています。その取り組みについて発表させていただきました。
④鹿児島市地域包括支援センター 本部 生活支援コーディネーター 大園紀子氏
「住民主体による支え合いを推進するために」
鹿児島市で行われている地域の助け合いを推進していくための取組みについて、鹿児島市地域包括センターの生活支援コーディネーターである大園紀子さんから発表していただきました。
⑤南九州市 長寿介護課 地域包括ケア係 保健師 西水流菜々氏「住民主体の支えあい活動の立ち上げ支援をとおして~すべての人が支え・支えられる仕組みづくり~ 」
後半のパネルディスカッションでは…
終わりに
やどかりサポート鹿児島では、2024年2月22日13時半からにオンラインで、地域での支え合いをテーマにしたウェビナーシンポジウムを行います。
シンポジウムでは鹿児島県で互助を行っている自治体や行政の方をお招きし、地域の支え合いの実例の話を伺います。
また、互助をコーディネートしている立場からも地域互助の可能性について話し合います。
参加は無料ですので、ご興味のある方は是非ご参加いただければ幸いです!
申し込みURLは以下になりますので、よろしければご登録ください。
申し込みURL:https://qr.paps.jp/boZNv
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問題の背景
日本では、医療施設や老人ホームなどの高齢者ケア施設では、入院時・入居時などに「身元保証人」を求められるケースがあり、これが身寄りのない方が医療を受ける際の大きな障壁となっていました。
入院手術時に身元保証人が必ず必要という事になると、身寄りのない人々の生命や健康が脅かされてしまいます。
このため令和元年厚生労働省がに身元保証人のいない人の治療を拒まないように通達を出したのですが、一部の医療機関では現在でも入院や手術時の身元保証人を求められることがあります。
やどかりサポート鹿児島は賃貸の連帯保証人を用意できない人々に連帯保証を行うNPOですが、利用者の中には身寄りのない人も多く存在しています。
今回、利用者さんの一人から、病院受診の際に身寄りを求められ、必要な手術が受けられないかもしれない出来事があったという声を受けました。そのため、この医療機関に対し、身寄りのない人々を一部の例外として扱うのではなく、スタンダードな患者として受け入れられる体制を整えていただきたいとお願いさせていただくことにしました。
お願い本文
2023年12月25日、私たちは今回利用者さんが身元保証人を求められた医療機関に、以下のようなお願いをさせていただきました。
終わりに
日本の単身世帯率は令和2年の時点で38%であり、現在も増え続けています。
身寄り問題は決して一部の特殊な人々だけの問題ではありません。家族がいる方でも配偶者に先立たれたり、子供が遠方に転居したりして、近所に頼れる人が誰もいない状態になることは十分にあるのです。
身寄りのない人に優しい社会を作っていく事は、恵まれない誰かのためではなく、日本に生きる全ての方のためだと思います。
私たちやどかりは、今後も身寄りが無くなっても生きやすい社会を作るために提言を続けていきます。
丸紅基金より、車両費として152万円を助成いただきました!
本当に有難うございます。これまで以上に居住支援を充実させていきたいと思います。
贈呈書の授与
贈呈ですが、なんと福岡より丸紅の九州支社長花田様と地域統括部の宮崎様が鹿児島のやどかり事務所まで来られ、贈呈書をお渡しいただきました。
贈呈式の後は、やどかりの活動についてご説明させていただき、シェルターなどをご見学いただきました。
遠いところまでお越しくださり、本当に有難うございました!
助成金で購入する車両の使い道
購入する車両ですが、ダイハツの「タント ウェルカムターンシートL」と言う車種を購入予定です。
この車は低床タイプで高齢者や障害がある方の乗り降りが楽だったり、荷物クレーンがついていて、車いすを持ち上げて後部座席に載せたりすることができます。
やどかりではこの車ので活用方法としては以下のようなものを考えています。
①アウトリーチの際の交通手段として
やどかりでは鹿児島市内に100件以上の利用者さんがいます。
家賃滞納や騒音問題で,大家さんや管理会社よりやどかりに連絡が来ることがありますが、こういったトラブルには,何らかの疾患により金銭管理ができない状態になっていたり,病気や障害で医療やサービス利用が必要な状態となっていたりするなど、課題が隠れている場合が多くあります。
利用者さんが生活を立て直し、地域での生活を続けていくためには,適切な制度や医療・福祉に早急につなぎを行う必要があり,アウトリーチ(訪問支援)が必要になります。
新しく導入する車両は、こうした利用者さんの訪問活動に役立てていきたいです。
②入居時の移動やシェルターへの布団や家電の運搬手段として
物件に初めて入居される方の場合、けがや病気で体調を崩されている方が多く、手続きのため行政施設に行くのが難しいため、移動手段に車を使う場合があります。
またやどかりが運営しているシェルターがあるのですが、大きくてかさばる布団類や家電の運搬のため、車があれば非常に助かります。
これまではスタッフ個人の車でどうにか対応してきたのですが、今後は新しく導入される車両を使って対応できればと思っております。
③障害や病気を持った人が居場所に参加する時の移動手段として
やどかりではつながりを促進するため居場所サロンや料理会を開催しています。
しかし、やどかりの利用者さんには病気や障害を持っていて移動が難しい方がいらっしゃいます。
今回購入する車種は車いすを載せることが可能なタイプなので、居場所サロンの開始の際にその方たちを送迎することで、サロンへの参加をお手伝いすることができます。
終わりに…今後に向けて
やどかりではこれまで車を持っていなかったので、アウトリーチや障害のある方のサロン参加がなかなか難しいというお悩みがありました。
車両を確保できたことで、よりきめ細やかに利用者さんの様子を伺うことができ、大変嬉しいです。
今後は居住支援や身寄り問題をより詳しくとらえていくために、アンケートやインタビューなども行い、問題の詳しい像を捉えていければと思っております。
助成いただいた丸紅様、本当に有難うございました!
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前編のまとめ
医療機関への入院時、多くの場合身元保証人を求められていた日本ですが、単身世帯が増加し、2018年に厚生労働省が「身元保証人がいないという理由で入院を拒んではならない」という通達※1を出しました。
※1 厚労省 2018年
「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」
それから5年たった2023年、身寄りのない人々を支援するやどかりサポート鹿児島では、まだ入院時の身元保証が問題になっています。
身寄りがない人が医療を受ける時どのようなことが問題になっているのか、
入院時身元保証はどうなっているのか?
僕自身は通院や治療後のケアも問題や課題があると思いますが、1番の問題は入院時の身元保証が必要とされる状況だと思います。
個人的には大いに問題があると感じています。
身寄りのない人が入院する場合、病院とは一体どのようなやり取りになっているのでしょう?
Dさんによれば、通院の時は保証人は基本必要ないように見えるが、手術や入院時は身元保証人が必要とされる場合がほとんどのことです。
病院にもよりますが、医療機関に付き添い、入院の話になった時、「この人は身寄りがいないんです」と伝えても、「決まりですので、皆さんにお願いしてます」と堂々巡りになることもあるそうです。
身寄りのない人に保証人を求められてもどうしようもないですよね。
ですから病院と多少言い合いになってしまったこともあります。
でも、付き添いの患者さんが僕と病院が言い合っている傍で恐怖で顔が強張ってしまっていたんですね。誰でもこれから入院する病院と、入院中世話をする人間が対立しているのは不安だと思います。
それを見て自分が保証人になることに決めました。
身元保証人を用意するのが入院の条件だったので、Dさん自身が身元引受人になられたのですね…(T_T)
2018年の厚労省の調査では「身元保証人のいない人は入院を認めない」と答えた病院は8.2%あったけど、今後もこの調子だと身元保証人がいないせいで亡くなる方が出そうで恐ろしいです…
(@_@;)
Dさんは「病院側の言いたい事も全くわからない訳ではない」と言います。
身寄りのない人向けの社会資源が整っていない日本では、身寄りのない人の治療は、標準コースである「身寄りのある人」と比較すると手間や不明な点が存在します。
でも、手術や入院が必要という事は、軽い怪我や病気ではない状態です。もしも「保証人は決まりですので、皆さんにお願いしています」と言われてしまうと、身寄りのない方は必要な医療を受けられなくなってしまいます。
Dさんの周りには児童養護施設で育った友人や、身寄りのない方も多くいるそうです。
その人たちが「身寄りがない」と言う本人にはどうにもできない理由で、必要な時に医療を受けられないのは、とても恐ろしい事ではないか?とDさんは感じられたそうです
今後更に増加していく身寄りのない人を支援するシステムをどう構築していくか?
Dさんには入院・通院支援をとても積極的にしていただいています。その経験から、とてもシビアなことを伺います。
身寄りなしの方が高齢者になった場合、今以上に入院・通院支援が必要となることが予想されます。
身寄りのない人々を支援しているやどかりでも、このケースは増加していくでしょう。
その際、とてもDさん一人でご対応できるような状況ではなくなってくると思うのですが、これらの支援をご自身以外の方にも広めていくためには何が必要だと思いますか?
身寄りのない方が陥っている苦境を理解して下さる方は広がると思いますが、実際に支援活動に参加する方を増やすとなると、難しい問題だと感じています。
単身世帯が増加していく日本で、身寄りが無くなってしまった人たちをどのように支えていけばよいのか?手伝って下さる人々をどのように増やしていけばいいのか…
今後の日本は身寄りのない人が増えていくと予想される一方、「困難な状況に陥ったのは自己責任」という考え方も社会には根強く存在しています。
現在、支援に積極的に関わって下さっているDさん自身も、やどかりに来る前はこういう困難について「自己責任」と考えていたそうですが、鹿児島で活動している互助の会や、やどかり利用者の先輩が支援活動をしているのを見てから、考え方が変わったそうです。
Dさんは現在は「身寄りのない人々の陥っている困難に対する支援活動に共感をしてくださる方は少なくはないので、これからも情報発信や活動の説明は必要」と考えているとのことです。
一方で、「身寄りのない方が直面する問題の理解が広がり始めても、実際に支援して下さる方を増やすとなると難しい」とDさんは言います。
その理由としてDさんは第一に活動の負荷をあげていました。
通院の支援や入院の支援は、感謝してもらえる事も多いけれど、人の命に関わる重大な局面も多々あります。
具体的に言えば、癌やコロナを患った人を、その人が亡くなるまで支援することもあるのです。
重大な活動である分、重荷に感じて参加を躊躇する方が多いとのことでした。
第二に、活動を広げるには金銭的な問題があります。
この支援活動は基本、“ボランティア”という位置づけが一般的です。困っている方を無償で支援して下さる方がいれば素晴らしい事だし、そうなれば理想です。
でも、このご時世に時間とお金に余裕のある方がどれだけいるでしょう?残念ながらこの社会の多くの方は、日々の生活や、自分自身の事、そして家族の事で手いっぱいで、そこまで余裕はないと思います。
支援にはどうしても時間や日数がかかり、時にはお金もかかります。公共交通機関で移動すれば交通費、時間が長くなれば飲食代、お見舞いに行くにも何か差し入れをしたい時もあるでしょう。
どこまで支援するかにも寄りますが、支援をする側に費用(手出し)が必要であれば、活動を広げていく際に障壁となってしまいます。
逆に、心理的負担・時間的余裕・費用面の3つを解決出来れば、参加してくださる方が少しずつでも増えるのではないか?とDさんが仰っていたのが印象的でした。
人とつながりあうことで、自分自身を助けられる
身寄りのない人々は増加しているのに、なかなか時代や制度が追いついていないと感じます。
問題に対処するために、個人のレベルでできそうなことはあるのでしょうか?
色々と現状や思う事を述べさせていただきましたが、最後にやはり人と人とのつながりだと思います。
Dさんは、「身寄りが誰もいなくても、友達は作れる。友達がいれば助けあうこともできる」と考えているそうです。
そして、友達同士で助けあうことができれば、この記事で書いたような困難なことは、ほとんどは解決できるのではないか?と考えているとのことでした。
今の日本では、通院の付き添いだったり、入院時の身元保証は家族機能が担っています。しかしその部分を、友達同士で助けあうようになれれば、知りあい、友達、仲間、親友、1人でも2人でも呼び方は何でもいいので困った時に困ったと、助けあえる方がいれば、やどかりがしているような支援活動も少なくなっていくのではではないか?とのことでした。
Dさん、長時間にインタビューに答えていただき、本当にありがとうございました!!
m(__)m
おわりに
まだまだ「家族」の存在が期待される場面が多い日本。しかし単身世帯率は今や38%で、身寄りのない方が激増する状況で、家族の存在をベースにした制度設計は現状に合わないと思います。
日本政府も、医療機関が身寄りのない方を拒んだりしないように、厚労省が通達を出したり、ガイドラインを作成したりしています。しかし地元の入院支援の話を伺う限りは「これで身寄りがなくても安心して入院できる」と言う状態にはなっておらず、まだ時間がかかりそうです。
それでは今、身寄り問題に直面している人は一体どうしたらいいのか?身元保証会社に頼るという手もありますが、これには料金が必要で、経済的に余裕がない人は利用が難しそうです。
そこでやどかりサポートでは利用者間で「つながるあんしん事業」という事業を立ち上げました。
この事業の参加者は「つながるファイル」という、身寄りがなくても困らずに生きてい
ターミナルケアや、死後事務をどうして欲しいかをあらかじめ決めてつながるファイルに書いておき、信頼できる人に託しておくことで、身寄りがなくとも安心して入院したり、最後を迎えることができるようになればと思っています。
この事業を2021年に開始してから2年、参加者でお亡くなりになった方はまだいらっしゃいません。そのためこのファイルの実効性はまだ我々にも分かりません。
しかし身寄りがない人の存在がまだスタンダードではない状況の中では、家族ではないコミュニティを形成し、いざという時に備えあうことが、重要になるのは間違いないと思います。
※画像はイメージです。
こんにちは。やどかりサポート鹿児島のスタッフです。
11月に入ったとはいえまだまだ温かさが残っていますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?
やどかり事務所では9月に理事長とスタッフ達が次々とコロナに感染しました。その後はインフルエンザの襲来もありましたが、11月に入り何とか落ち着きを取り戻しつつあるところです。
季節の変わり目ですので、皆様もお体にはお気をつけてお過ごし下さい。m(__)m
おさらい…身寄りのない人の入院時身元保証問題
さて、このブログを読まれている皆様はこれまで入院して治療を受けられたことがあるでしょうか?
その際、医療機関から「身元保証人になってくれる人を探して下さい」と言われた経験はないでしょうか?
家族がいる人は身元保証人をすんなり出せる場合が多いのではないかと思うのですが、身寄りがない場合「身元保証人」の存在がネックになり、スムーズに治療を受けられない場合がしばしば見られます。
どうしてこうなってしまうのでしょうか?
厚労省の2018年のレポート※1によると、医療機関は入院時の身元保証人に以下のような役割を求めているんです。
- 入院費の支払い(87.8%)
- 緊急の連絡先(84.9%)
- 債務の保証(81.0%)
- 入院診療計画書への同意(49.9%)
- 医療への同意(55.8%)
- 本人の身柄引き取り(67.2%)
- 遺体・遺品の引き取り(55.3%)
※1 厚生労働省 2018年
「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」
しかし、身寄りのない人たちは、このリストに載っているようなことをしてくれる身元保証人がいません。
身元保証人がいないせいで入院できないのであれば、大きな病気やけがをしてしまった時、「身寄りがない」という理由だけで命が危なくなってしいます。
日本総合研究所のレポート※2でも、2040年には1000万人、実に入院する高齢者の4分の1が身元保証人を探すことが難しいと予測されています。
なのに、先の厚労省のレポート※1によれば、2018年の時点では、「身寄りのない人の入院を拒否する」と回答した医療機関は、8.2%に上っていたのです。
※2 星 貴子 2019年
「急がれる医療同意に関する法制度の構築-身元保証人によらずとも患者の意思を反映できる制度に」
日本総研 Research Focus
この事態を憂慮した厚生労働省は、2018年4月に「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」という通知を出し、令和元年の6月には「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」も続けて作成しました。
厚労省の通知から5年…身寄りのない人の入院問題はどのくらい変わったのか?
厚労省の2018年の「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」という通知には、「入院による加療が必要であるにもかかわらず、入院に際し、身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触する」と明記されていました。
身寄りのない人々の中には、この通知が出された時に、躍り上がって喜ばれた人もいたようです。
例えばノンフィクション作家の松原順子さんは、この通知が出た時のことをこんな風に書き綴っています。
保証人を求める理由としてはほかに、入院患者には死亡のリスクもあり、緊急連絡先や遺体引受先としての必要性もあるようだ。
このような状況を受けてだろう。『週刊WEB 医業経営マガジン』2018年525号、医療情報ヘッドラインの記事によると、
“厚生労働省医政局は、4月27日に「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」と題した通知を発出し、身元保証人の有無にかかわらず入院を受け入れるよう、各都道府県から医療機関に指導することを要請した。”
ということだ。
この通知から読み取れることは、ひと言でいうと、医師は入院時に身元保証人の提示を求めてはならない。つまり、わたしたちは、身元保証人がいなくても入院できるということになる。
わたしはこの記事を読んだとき、小躍りした。もし、今後、医療機関から身元保証人を求められたら、この記事を見せたらいいからだ。
入院時の「身元保証」要求は当たり前ではない!老後ひとり時代に考えるべき事 2019年6月30日 週刊女性PRIME
しかしこの通知から5年が経過した今、やどかりの地元の鹿児島を見ている限りでは、身寄りのない人が入院する際は「身元保証人」という言葉がまだ出ており、問題がくすぶり続けているように見えるのです。
今、鹿児島の身元保証の問題は一体どうなっているのか?
やどかりのピアサポーターで、身寄りのない方への医療機関への付き添いを何度もしてくださっているDさんにお話を伺いました。
Dさんインタビュー 通院支援ではどのようなことをするの?
Dさんこんにちは!
いつも利用者さんの通院をご支援いただき、ありがとうございます!
入院・通院支援の現場では、具体的にどんなことをされるのですか?
状況によって違いますが、すでに患者さんに段取りが出来ていて付き添うだけの時や、こちらで段取りするなど様々だと思います!
Dさんによると、第一回目の病院受診の際の支援の流れは、以下のような流れとのことでした。
- 本人から体調がどのように悪いのかお話しを伺う。
- 病院を探し、問い合わせをして、本人がその病院でよいと了承が得られれば、その病院に同行し受診する。
支援対象者の方が同席を望まれる場合や体調が悪く話しを聞ける状況にない場合は、先生の診断結果などを同席して一緒に聞くこともあります。
Dさんによると、通院になった場合は、以下のような手順になるとのことです。
- 通院日時の確認、予約が必要な治療の予約などをする。
- 通院の同行をする。
- 買い物支援をする。
???
「買い物支援」とはどういう支援なのでしょうか?
病気の種類や箇所、その日の体調によってはご自身でお買い物に行けない、重いものを持てない場合があります。
その時は食料や飲料、必要な物をお聞きし代わりに買い物に行き、ご自宅までお届けします。
退院直後は近所のスーパーに行けないくらい体調が悪い時もありますから、代わりに買い出しに行っていただけるのは本当に助かりますね!
(^0^)
入院支援ではどんなことをする?
通院だけでなく入院になる場合もあります。
その時の支援内容はこんな感じですよ!
- 病院と入院の日時、書類等、入院の決まり事、必要な物などを確認する。
- 入院に必要な物を準備する。
- 入院当日に同行し病院にいく。院中、お見舞いや必要な物を買い届ける。
- 退院の日に迎えに行く。
なるほど、身一つで入院する訳にもいかないですもんね…(;´・ω・)
入院前に必要なものや、入院中必要なものにはどのようなものがあるんですか?
入院準備品としては病院により様々ですが、ざっとこんな感じですかね。
- 洗面用具
- タオル
- パジャマ
- 下着
- T字帯
- スリッパ
- テッシュ
- ストロー
- コップなど…
入院後は病院に売店がなかったり、売店があったとしても売ってないものを届けに行きます。
飲料品や食料品が中心で、長期入院の方はイヤホン、ラジオ、電池などです。
…そして入院するには、身元保証人が必要です。
まだ残ってたんだ、その制度は…(´;ω;`)
家族以外の人が病院に付き添った時の病院側の反応は?
日本の場合、患者の通院に付き添うのは家族が多いと思いますが、ピアサポーターのような「家族以外の人」が病院に一緒に付き添う場合、病院の反応はどのような感じなのですか。
病院や看護師さんによって様々だと思いますが、大きな病院ほど家族じゃないと制限されることが多いと感じます。
プライバシーが厳しい時代だと思いますので、しょうがないことかなとも思います。
退院して家に帰った後、家で一人で寝ていることはできても、一人で買い物に行くまで体調が回復していない方もいると思います。
頼れる家族がいない方を、医療側は想定している感じなのでしょうか?
Dさんによると、医師をはじめとする医療者の方はとても忙しそうで、患者の退院後のことまで気にかける余裕はないのでは?とのことでした。
また、日本の単身世帯は38%ですが、鹿児島だと「本当に全く身寄りがいない人」と言うのは割合として少ないので、現場ではそれほど問題とされていないのかもしれない…とのことでした。
厚労省のガイドラインだと、「身寄りのない方の退院支援についてはケアマネージャーや生活相談員などが本人の意思を聞いて退院先の選択や手続きの分担を」…と言うようなことが書いてあります。
一見制度が充実しているように見えるのですが、どこまで実現しているのかは地域によって随分差がある状態になっているという事でしょうか?
診察時に退院後のことまで気にかけてくださる先生も時々いますよ。
でも「家で一人で療養するのは難しそうだから、身寄りがない方にはこういう制度がありますよ」とまで言われたことはないです。
Dさんのお話だと、医療の現場はとても忙しそうなので、患者さんの退院後のことまで気にかけるのは難しいのではないか?と感じるということです。
大きい病院だと「院内に社会福祉士を置いているので、そこで聞いてくれる?」と言うスタンスのようですが、そのような制度が存在していることが、残念ながら世間的にも、身寄りのない人々にも認知されていない。
病院内に相談できる窓口があるのであれば、会計の際に「身寄りのない方にはこんな相談窓口を置いていますよ」という内容の用紙をはさんだりしてくださると助かる、とのことでした。
ちなみにやどかりの理事長であり、身寄りなし問題に長年関わってきた芝田氏に身寄りのない人が使えるサービスについてご意見を伺ったところ、以下のようなお答えでした。
「身寄りがない場合のサービスってそんなにはないかと思います。
『身寄り』問題はこれに対応する社会資源不足が大きな課題ではないかと認識しています」
介護や障害認定されたりしている場合は福祉サービスにつながるけど、一時的に病気やケガで動けなくなった場合は使えるサービス無く、「助けてくれる家族がいる」という前提がこのご時世でも継続しているとは…
(;゚Д゚)
今後ますます単身世帯が増加するのは確実なので、身寄りのない人が使える社会資源がもっと増えて欲しいです…!
後編では…
2023年の鹿児島市では、身寄りのない人々の入院時身元保証問題は、残念ながらまだ存在していました。
後編では、身寄りがない人が実際に医療機関に行った場合どのような事が起こるのか、やどかりの互助会ではそれにどう対応しているのかについて書きます。
こんにちは!やどかりサポート鹿児島広報スタッフです。
10月31日ということでハロウィンですね。今回は開始して約4か月経過している『孤独死ゼロアクション』についてこれまで参加しての感想、今後どのようにいていくことで「孤独死ゼロ」を目指すことができるのか参加している皆さんで意見交換をしました。
孤独死ゼロアクションの話し合い
孤独死ゼロアクションを開始し、LINEオープンチャットを作成して約4か月。その間には様々なことがありました。
みんなであいさつなどの交流からつながりが生まれ、互助が起こったり、居場所に参加するきっかけが生まれたりといい効果がありました。その一方で価値観の違いからグループを離れる方や緊急時の対応などについて孤独死をゼロにしていくために乗り越えなければならない様々な課題も見えてきました。
今回は以下の3点について2つのグループに分かれて話し合ってもらいました。
- 孤独死ゼロアクションLINEオープンチャットに参加しての感想
- トラブルが発生した際にどのように解決するか
- 「孤独死ゼロ」にするためにあなたができることは何か?
孤独ゼロアクションLINEオープンチャットに参加しての感想
参加された皆さんからの意見として以下のようなものがあげられました。
- オープンチャットのおかげでつながりができた。
- コミュニティが増えて嬉しい。
- LINEスタンプ、LINE教室があると参加者にとってよいだろう
- 連絡用とおしゃべり用でどちらもあいさつなどが行われていることからどちらがおしゃべり用かわからなくなる。
- 緊急時に連絡用、おしゃべり用どちらで発言するべきか迷う
みんなであいさつなどの交流からつながりが生まれ、互助が起こったり、居場所に参加するきっかけが生まれたりといい効果がありました。その一方で価値観の違いからグループを離れる方や緊急時の対応などについて様々な課題も見えてきました。
トラブルが発生した際にどのように解決するか
- 人間関係での問題は個人間で解決せず、みんなのいる場で両者の話を聞き、みんなで話し合う。
- LINEオープンチャット等で個人を特定しているような発言を控える。
居場所やLINE等で仲良くなる人もいる中で、仲良くなったからこそ人間関係のトラブルが起こることがあります。すぐに輪の中から離れることは簡単ですが、せっかくできたつながりを断ってしまうことは悲しいことだと思います。それはトラブルが起きた人達にとっても、トラブルの当事者間の周りにいる居場所やLINEの参加者にとってもです。
みんなで話し合える場所があるのだからみんなで解決していきましょう。
「孤独死ゼロ」にするためにあなたにできることは何か?
- LINEスタンプを作成する(安否確認に使用できる)
- 毎日ラインして安否を知らせる
- 居場所サロンに参加する
- 近所の人に訪問してサロン等に誘う
- マンションごと、地区で代表者を決めて見守り合いをする
皆さんから様々な意見をいただき、活発な議論ができました。
特に訪問について、居場所に参加していない人こそつながりができていない人でありきっかけを作ることが重要だと感じており、やどかりとしても重点的に取り組んでいきたいと思っています。
皆さんにお手伝いしていただくこともあるかと思いますが、その際はよろしくお願いします!訪問に向けて近日中に詳細をお伝えできるように準備を進めています。
今週のネコちゃん
今週もネコちゃんたちとの交流の様子をお伝えします。
というわけで10月31日の居場所サロンでした。ブログ公開遅れていて申し訳ないです!11月7日の居場所サロンについても投稿しますのでお待ちください。
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こんにちは!やどかりサポート鹿児島広報スタッフです。
今回は10月27日にサンエール鹿児島で開催した料理会の様子をレポートします。
料理は準備から
今回の料理会では唐揚げと中華スープをみんなで作ることになりました。当日に参加者の皆さんたちで買い物をしていただきました。
料理会会場でみんなで準備
13:00前に会場に集合し、料理会がスタートしました。
みんなで手分けして準備に取り掛かります。
唐揚げ、中華スープ、ご飯・お茶・食器の準備のそれぞれの様子です。
唐揚げ
中華スープ
ごはん・お茶・食器の準備と全体の様子
中心になっていただいた料理担当者の方がてきぱきと指示ややり方を教える様子。特に決めていなかったご飯やお茶、食器の準備を手の空いた皆さんで率先して動くなどみんなで助け合いながら料理を作ることができました。
感謝を込めていただきます
それぞれが自分のできることを見つけて取り組んだ結果、想定よりも早く料理が完成しました。
出来上がった料理がこちらになります!
それではみんなでいただきます!
みんなおいしそうに食べ、お腹いっぱいになりました。
大量に作ったので、都合が悪く参加できなかった方にもお届けしました。
それぞれが役割をもって動き、料理を作り上げることで達成感のある料理会になり、参加者間の絆も生まれたのではないでしょうか。
また、開催したいと思います。今回ご参加できなかった皆さんもまた開催する際にはぜひ参加してください。
なお、本事業は令和4年度(補正予算)独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成金(WAM)で運営いたしました。
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こんにちは!やどかりサポート鹿児島広報スタッフです。
10月も後半になりましたがいかがお過ごしでしょうか?毎週火曜16:00~開催の居場所サロンでは料理会についての話し合いを行いました。
料理会についてのお話し合い
料理会は元々9月30日に開催予定でしたが、やどかりスタッフのコロナウイルス感染により中止になってしまいました。参加予定だった方々には申し訳なかったです。
今回の料理会は前回のリベンジということで9月30日に作る予定だった唐揚げと中華スープを作ることになりました。
それぞれの料理に主となる担当の方にはやどかりスタッフの段取りの悪さから直前でのお願いになってしまったのですが、快く引き受けていただきました。ありがとうございます。
参加者も15名ほどすでに集まり、ほとんどの方がサロンに集まっていただけたので、当日の流れや疑問点、要望等について話し合いをしました。
それぞれの料理に主となる担当の方がいらっしゃいますが、参加される皆さんも担当の方のもとで様々な役割を担ってもらい、全員が参加して料理を作る会にしていきたいと思っています。
ボードゲームでの盛り上がり
最近では将棋、オセロで楽しむ方々が増えています。理事長も将棋を楽しんでいます。
居場所の中でも雑談をする人やボードゲームをする人など様々なグループが生まれています。参加者の方も自然といろいろな場所に移っていき、交流できています。
今週のネコちゃん
今週のネコちゃん。
最近は居場所のある2階に遊びに来てくれます。
それでは10月24日(火)16:00~のやどかり交民館でした。次回は10月31日(火)16:00~です。ちょうどハロウィンですね!ご参加お待ちしています。
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