こんにちは!やどかりサポート鹿児島のスタッフです。
皆さんは生活保護制度についてどのようなイメージを持たれていますか?
このブログを書いている2023年5月12日現在、厚生労働省「生活保護の被保険者調査(令和5年2月概数)」によれば、生活保護の被保護者人数は2百万2万1614人(令和5年2月のデータ)。
実に100人当たり1.62%人の方が生活保護を受けていることになります。
これだけ利用者が多い制度だと、受給理由も実に人それぞれ。
やどかりサポートで働いているスタッフとしては、様々な方を支えている制度であることを毎日実感しています。
今回は、家庭もあり仕事も持たれていましたが、突然の病気で障害が残り、居住支援をさせていただいた男性のケースをご紹介いたします。
1,Bさんがやどかりシェルターを利用することになったきっかけ
Bさんは建設業界で働く中年男性。夫婦で子育てをしながら、難病を抱えた親族の入院の面倒を見るなど、忙しい日々を過ごしていました。
ある日突然右半身が麻痺し、体に力が入りません。病院を受診すると、原因は脳の病気で、後遺症として麻痺が残ると言われてしまいました。
歩くことはできますが、現場で働くことは難しく、休職を余儀なくされました。
Bさんは家族で賃貸住宅に暮らしていましたが、収入がないので家賃が払えません。そればかりか今まで面倒を見ていた親族の治療費も払えなくなってしまいました。
次第に貯蓄も底をつき、大家さんからは「退去してほしい」と言われました。しかし次の入居先が見つけることができません。困ったBさんは公的機関に相談、そこでやどかりサポート鹿児島のことを聞き、事務所に訪れたのです。
2,Bさんとの最初の面談の様子
面談に訪れた際にBさんは、とても憔悴していました。
Bさんは貯蓄が無くなった時点で限界を感じ、生活保護を申請していました。しかし家賃滞納と親戚の医療費で、債務額は数百万円に膨れ上がってしまっています。
「何とかお金を返したい」と食事を限界まで切り詰めたせいで、Bさんはげっそりと痩せてしまっていました。
更に追い打ちをかけるような出来事もありました。Bさんの状況に希望を持てなくなった家族から、もう一緒に暮らすことはできない、子供を連れて出ていく…と伝えられていたのです。
家を出た後は、子供たちは母親と、Bさんは別々に暮らすことになってしまいます。
これまで家族一緒に暮らしてきたBさんにはとてもショックな事でした。
やどかりでは、家も家族も失ってしまったBさんをシェルターに受け入れて、一緒に新しい物件を探すことにしました。
3,やどかりがBさんに対して行った支援
①自宅からの退去のお手伝い
Bさんは病気の後遺症によるマヒのため、重い物を持つことが出来ません。自分だけでは引っ越しが難しいので、荷物の移動やの前の家の片付けを、限られた予算内で業者に頼む必要がありました。
やどかりではいくつかの業者に相談し、厳しい予算内で引っ越しができないか見積もってもらいました。こうして決まった業者が家財の処分と荷物運びをしてくれて、Bさんは無事お部屋を退去する事が出来ました。
②シェルターへの受け入れ
やどかりはBさんに一時的にシェルターに入居してもらい、その間に新居を探すことにしました。
シェルターはタオルやシャンプー、布団などもあるので、身一つで転がり込んでも生活していく事が出来ます。他団体から寄付していただいた食料をBさんに届けて、体を休めるように伝えました。
③携帯電話の貸し出し
Bさんの電話は料金を滞納してしまったため、使用に制限がかかっています。家賃滞納と医療費の滞納でBさんの債務は膨らみ続けていますが、電話が使えないと弁護士に連絡できません。
やどかりはBさんに携帯電話を貸し出し、外部と連絡が取れるようにしました。弁護士と話せるようになったことで、シェルター入居中も債務整理に必要な手続きを進めることが可能になりました。
NHKや電力会社への解約手続きも少しずつ進めていきました。
④入居先探しの支援
Bさんは病気の後遺症で体が不自由になってしまい、長い時間歩いたり階段を上ったりができません。一人で暮らしていくためには駅やスーパーが近くにある物件を探す必要がありました。
やどかりサポート鹿児島ではBさんが住みやすそうな物件を探し、駅から徒歩10分以内で、スーパーや居場所サロンも近い物件を見つけることが出来ました。
4,ピアサポーターからのお誘いで居場所に参加するようになったBさん
新居に入居された後、Bさんは同じくらいの年代の男性のピアサポーターから声をかけられて、やどかりサポートの居場所サロンに少しずつ参加するようになりました。
「人と関わるのが少し苦手」とおっしゃっていたBさんでしたが、近くに住んでいる友達に誘われクリスマス会にも出席しました。
生活も少しずつ落ち着き、リスタート・ケータイという過去に携帯電話の未払記録を出してしまった人でも契約できる携帯電話を申し込みました。

5,その後のBさん
「家族と一緒に暮らさなくなってから、1人の時に何もすることがなく、気が付くとタバコを吸ってしまっている時がある」とのこと。
「ご飯もしっかり食べてくださいね」と声を掛けたら、「仕事を始めたらタバコも減るだろう。この間ハローワークの職員と面談もした。早く働きたい」と仰っていました。
家族がいる人が突然働けなくなってしまった時に、それまで何の問題もなく支払っていた居住費や通信費などが突然払えなくなってしまい、家や家族さえ失ってしまう場合があります。
そんな時、最後のセーフティネットとなって支えてくれる生活保護制度は、命を守るためにとても重要な制度だと思います。
実際に、生活保護受給世帯の中には障害者・傷病者の割合が25.1%と大きな割合を占めています。

働き盛りだったのに、突然の病気で急激な環境の変化に直面されたBさん。
Bさんが自分自身の居場所を取り戻していけるよう、今後も伴走支援を続けていきたいと感じました。
やどかりサポート鹿児島「孤独死ゼロアクション」寄付のページはこちら:
https://congrant.com/credit/form?project_id=6337
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やどかりサポート鹿児島が参画している孤独・孤立対策官民連携プラットフォームでは、毎年5月を『孤独・孤立対策強化月間』としています。
やどかりサポート鹿児島では、平時から居住に困っている方、身寄りのない方々への孤独・孤立を防ぎ、つながりを生み出していく活動に取り組んでいます。
また、孤独死のない社会の実現を目指す『孤独死ゼロアクション』を開始したやどかりにとって、より気を引き締めて活動を行っていく1か月になります。
やどかりでは、住まいに困っている方々や身寄りがなく孤独・孤立を抱える方々の支援、つながりを築く居場所への参加を促しています。
居住にお困りの方や居場所への参加に興味がある方は電話またはメールで連絡をぜひお願いいたします。
電話:099-800-4842
E-mail:info@npo-yadokari.jp
こんにちは!
居住支援法人やどかりサポート鹿児島のスタッフです(^-^)。
今回は実際の居住支援のケースとして、やどかりサポート鹿児島で運営しているシェルターに入居いただいたAさんの事例をご紹介したいと思います。
居住支援法人がどんなことをしているか少しでもご興味を持っていただけたらこんなに嬉しいことはありません。
Aさんがやどかりシェルターを利用することになったきっかけ

50代女性のAさんがやどかりのシェルターに入居することになったきっかけは、居住していた物件の取り壊しでした。
同居していたお母さんが亡くなった後、Aさんは同じ物件に一人で暮らしていましたが、建物の取り壊しのため大家さんから転居をお願いされていました。
Aさんは家賃を1年以上滞納してしまっており、部屋はゴミだらけ。福祉事務所の訪問にも6カ月以上応じていません。
そのため生活保護の停止手続きも進んでいました。
実はAさんは数年間ずっと引きこもり状態になっていて、外に出ることが難しい状態にありました。
大家さんからは1年以上前から「取り壊しのため転居して欲しい」と言われているのに、なかなか転居先を見つけることが出来ません。
現在の家を退去した後の生活をどうしたらいいだろう?
私達やどかりサポート鹿児島は、福祉事務所と連携し、Aさんをやどかりが運営するシェルターに受け入れる事にしました。
Aさんとの最初の面談の様子
やどかりの相談員との最初の面談では,Aさんはずっと下を向いたままで、顔を見せる事は殆どありませんでした。
これからどうしたいか聞いても「別に」「どうせ」といった言葉が返ってきます。
お風呂に6カ月以上入れておらず、生活費の管理も難しそうでした。
しかし何度も面談を重ねていくと、Aさんは自分のことをぽつりぽつりと話してくれるようになりました。
5年ほど前に唯一の身寄りであるお母さんを亡くしてから,きちんと生活していく事が難しくなってきたこと。
子供のころから集団生活の中で「私は周りから浮いているのでは」「私はどこかおかしいのでは」と感じていたと,泣きながら話す時もありました。
ピアサポーターとの関わりで変わってきたAさん
やどかりでは、“やどかりライフ”という“やどかりを利用しているメンバーが互いに助け合う生活”を導入しています。
他のメンバーを助けてくれるメンバーのことを、“ピアサポーター”と呼んでいます。
人と関わるのが苦手だったAさんは、最初はやどかりの専門職である相談員による面談だけを行っていました。
ところがある日、Aさんが急病で倒れた時に、たまたま近くに住んでいたピアサポーターが一緒に救急車に乗って、病院に遅くまで付き添ってくれました。
そして帰宅後に布団から動けないAさんに、食べ物も届けてくれるようになったのです。
その頃から、Aさんに少しずつ変化が表れ始めました。
ピアサポーターの交流会に参加するようになり、やどかりスタッフ以外の人とお話しする事が少しずつ増えていきました。
そして、専門職による生活費の管理や、シェルターを出た後の生活の支援を受け入れてくれるようになっていったのです。
やどかりがAさんに対して行った居住支援
一人暮らしをする際に生活費の使い方や周囲との関りで様々な困難が生じることがあります。
やどかりでは、Aさんのケースに対して以下のような支援を行いました。
①金銭管理
一人暮らしが難しい方の場合、ご本人が「お金の使い方が難しい」と感じている場合があります。
1か月分の生活費を一度にもらってしまうと月末に生活費が足りなくなってしまったり、逆に足りなくなることを恐れ、お金を使うことに過度の不安を感じたりする場合もあるのです。
やどかりではAさんと話し合い,1週間に一度生活費を渡すことになりました。
1か月分まとめて手元にあると月末までに全部使ってしまう人でも、1週間分ずつ分けて渡せば、“月末に全くお金がない”という事態を回避できます。
Aさんの場合、初めは1週間分の管理が難しい時もありましたが,2カ月程度金銭管理を行うと、生活費の追加が必要ない状態になりました。
②精神保健福祉手帳を持つピアサポーターの支援
Aさんとの面談の中で「学生時代から周囲に馴染めなかった」という発言があったため,専門職が心療内科等の病院を受診することを勧めました。
しかしAさんは「障がい者という烙印を押されるのが怖い」と感じていました。
そこで精神保健福祉手帳を持つピアサポーターに面談に同席していただき,
①なぜ手帳を取得したのか
②なぜサービス利用をしているのか
③現在どのようなサービス利用をしているのか
について話をしてもらいました。
このことがきっかけとなり,Aさんは心療内科を受診しました。
そして障害がある人への支援相談をしているやどかりの相談支援専門員とも繋がりができました。
その後のAさん
現在のAさんですが、長い間ひきこもり状態であったことが嘘であるかのように,やどかりライフ参加者の方々と交流されるようになりました。
やどかりが運営している居場所にも積極的に参加されています。
そしてAさんは今ではピアサポーターとしても活躍されています。
以前の自分と同じように困っている人のために買い物支援やシェルターの掃除等などに関わっています。
Aさんのインタビュー
「シェルターに来る前は、「住んでいる家が住めない状態だから引っ越しましょう。自分で引っ越しはできないけど、行政の後押しがあればできますか?」と福祉事務所担当者に言われ、その時に初めてやどかりを知りました。
シェルターというものはテレビなどで知っていましたが、集団生活なのか、どういうお部屋なのかとかが気になりました。
シェルターに入る前に初めてやどかりに来て相談員と面談をした際は、「これから生活を立て直していきたい」と思いました。
しかし、シェルターに入った後は「これからちゃんと生活ができるのかな」と不安になる事もありました。
入居しているときに病気になってしまい、同じマンションのピアサポーターの方に一緒に救急車に乗ってもらった時には、本当にありがたかったです。
それまでは「あまり人と関わりたくない」という気持ちが大きかったのですが、それをきっかけに「必要な時は誰かに助けてもらわないと」と思うようになりました。
また、自分自身も「誰かの役に立ちたい」とも考えるようになりました。
新しい部屋の契約をして、引越しをしたときは、お風呂があって広い部屋に入れてとてもうれしかったです。
また、腰も痛かったのでベッドもついていて生活が楽になりました。
以前の住居の時はお風呂がなかったので銭湯に行かなければならず、足が遠のいていましたが、今は週に2、3回はお風呂に入るかシャワーを浴びて清潔にできています。
また、やどかりライフ参加者の方と一緒に自宅で料理をして食事をする機会もあります。
自分がこんなに変わるとは思ってもいませんでした。
近くに相談できる方もいるし、互助会にも参加し非常に充実しています。」

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NHK Eテレ1 ETV特集「ひとりだけど,ひとりじゃない」
https://www.nhk.jp/…/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/JYK5V16G5Y/
初回放送:2023年4月22日(土)午後11時~午前0時。
再放送:2023年4月27日(木)午前0時~午前1時
NHKのETV特集にてやどかりが取り組んでいる,「つながり」が取り上げられます。
主として取り上げられるのは,鹿児島ゆくさの会。
そしてその活動を紹介するなかで、NPO法人やどかりサポート鹿児島の活動や理事長の芝田にも注目されます。
NHK教育テレビ(Eテレ)にて、初回放送は2023年4月22日(土)午後11時~午前0時。
再放送は2023年4月27日(木)午前0時~午前1時から放映されます。
是非ご覧ください。

社会福祉法人中央共同募金会様より『コロナ禍で居住困難に陥った当事者が主人公となる居住支援推進事業』への助成をいただき、2021年12月~2022年12月の期間、居場所をなくした身寄りのない方々がもう一度つながりを創出できるよう、活動に取り組んでまいりました。
具体的には
①居場所の運営
②身寄りのない人が同じく身寄りのない人に対して個別訪問する活動
を行ってきました。
どちらの活動もつながりを生み出すには「きっかけ」が必要であり、その「きっかけ」が当事者によって促進されることが重要でした。
詳しい活動は↓のPDFからご覧いただけます。
08.活動レポート_やどかりサポート鹿児島居場所を失った人への緊急活動応援助成2022-12-27これらの活動を通じて、コロナ禍という緊急事態であっても身寄りのない当事者同士の支えあいとつながりがあれば、孤独や孤立を防止することができることを確信しました。
ただこの居場所、身寄りの問題はコロナ禍に限ったことではないということも事実です。
コロナ禍という緊急事態であろうがなかろうが、平時から身寄りがなく、孤独、孤立に陥ってしまった方々がコミュニケーションをとれるきっかけづくりをしていくことの重大さに改めて気づきました。
今回の助成によって得られた経験を活かし、今後は孤独、孤立が行き着く最悪のケースである「孤独死」をなくしていく『孤独死ゼロアクション』に取り組んでいきます。
このような機会をいただきありがとうございました。
※当法人が取り組んできた2つの活動は、赤い羽根居場所を失った人への緊急活動応援助成(第4回)をいただき、活動、運営することができました。
赤い羽根福祉基金に寄付をしてくださった皆様、活動を支援してくださった社会福祉法人中央共同募金会様に、心より感謝申し上げます。
こんにちは!はじめまして。
居住支援法人やどかりサポート鹿児島のスタッフです(^-^)。
ここ数年で知名度が上がってきた“居住支援”という言葉ですが、具体的にどんなことをしているのか…なかなか想像が難しいのではないでしょうか?
「“居住”を“支援”するって、一体どういうことなの???」と思われる方が多いのではないかと思います。
今回は実際の居住支援のケースとして、やどかりサポート鹿児島で運営しているシェルターに入居いただいた60代のCさんの事例をご紹介したいと思います。
“会社に勤め寮で寝泊まりしていたが、給料をもらったことがなかった” というケースです。
1,Cさんがやどかりシェルターを利用することになったきっかけ

60代のCさんは仕事先の寮に居住していましたが、解雇されてしまい、仕事と同時に住居も失ってしまいました。
寮を追い出されてからは1週間ほど公園で寝泊まりしていましたが、足の痛みなどがあり体調の良くないCさんにはとても辛い事でした。
以前の知人を訪ねて困った状況を相談し、福祉事務所に生活保護の申請をすることになりました。
福祉事務所からやどかりサポート鹿児島に電話相談があり、Cさんは入居先が見つかるまでの間、やどかりの運営しているシェルターに入居することとなりました。
2,Cさんとの最初の面談の様子
面談ではCさんは前の仕事の状況について「通帳は雇用主が持っている」「給料はもらっていなかった」「食事はお弁当が出ていた」「自分で自由に使えるお金はなかった」とお話してくれました。
“寮”といっても実際は会社の事務所の一角で寝泊まりをしていた様子でした。
専門職の見立てでは、「Cさんは雇用先から搾取されていたのでは?」とのことでしたが、Cさん自身には搾取を受けていた自覚がありません。また、これまで困ったことが生じても相談する先が分からなかったようでした。
Cさんは生活保護の申請は行ったものの、申請したことにより生活がどのように変化していくのか理解が追いつかず、今後の生活に非常に強い不安を抱えていました。
相談員が説明するものの、Cさんにとっては全てが初めての体験であり、なかなか理解することができません。Cさんの希望を聞きながら、少しずつ進んでいく方針になりました。
3,やどかりからCさんに対して行った支援
①金銭管理
今までお給料をもらったことがなく、食事も全て勤め先から支給されていたというCさん。「お金は全部自分が持っていると不安」との本人の相談から,月の生活費を週ごとなどで分割してCさんにお渡しすることを提案しました。分割して渡せば一気に全額使ってしまう不安がなくなるからです。
C氏も「その方が安心」とのことだったので,専門職による金銭管理が行われることになりました。
②Cさんを“やどかりライフ” や“ピアサポーター” と繋ぐ
やどかりサポート鹿児島では“やどかりライフ”というやどかりを利用しているメンバーがお互いに助け合う生活を導入しています。
他のメンバーを助けてくれるメンバーのことを“ピアサポーター”と呼んでいます。
やどかりはCさんを近所の“やどかりライフ”のメンバーに紹介し、Cさんが一人暮らしの中で気軽に相談できる相手と繋がれる環境を整えることにしました。
4,Cさんに対するピアサポーターたちのお手伝い
Cさんはこれまで一人暮らしをしたことがなく、携帯電話を持っていません。体調も崩していて、足が痛くて思うように歩けず、メガネの度数もあっていませんでした。一人で色々な手続きを行うのが難しい状態です。
やどかりではピアサポーターにCさんの新生活準備のお手伝いをお願いすることにしました。
具体的には以下のようなお手伝いが行われました。
①「生活保護ってなに?今後の暮らしはどうなるの?」というCさんの不安の解消
Cさんは、生活保護申請を行ったものの、今後自分がどのようになるのか想像できず、強い不安を抱いていました。
そこで、以前にやどかりサポート鹿児島の支援を受けて生活保護を受給し生活した経験のあるピアサポーターに、自分の経験や生活保護の手続きの流れ、今後の生活について説明をしてもらいました。
Cさんの希望で、生活保護開始説明や受け取りの際もピアサポーターが同行しました。
②電話を持たないCさんと、福祉事務所、やどかりサポート鹿児島とのつなぎ役
携帯電話を持っていなかったCさん。シェルターとやどかり事務所の場所は離れていたのでやどかりの携帯電話を貸し出すことをお勧めしたのですが、Cさんは「電話機を壊すのが怖い」怯えます。
そこでCさんへの連絡調整は、同じマンションのやどかりライフ参加者の方々を通じ、“伝言”で行うことになりました。
やどかりから電話を持っているメンバーに電話し、そこからCさんに伝言してもらうという流れです。
③福祉事務所・当法人・年金事務所・銀行への同行
これまで他の町で生活をしており、電車やバスを利用した経験が少なかったCさん。シェルター入居当初は、やどかりの事務所まで一人で電車を使って面談に来たり、役所へ手続きに行ったりすることが困難でした。
ピアサポーターが一緒に行って電車やバスの乗り方を教え、手続きにも同行することで、年金手続きや住民票の移動をクリアする事が出来ました。
④書類の整理の手助け
Cさんとお話を重ねる中で、Cさんには漢字の読み書きに困難があることが明らかになってきました。新しい物件への入居に向けた様々な手続きや契約が進むと書類が増えてきますが、専門職が「〇〇の書類を出してください」とお伝えしても、本人がどれがどの書類であるか分からないので困ってしまいます。
「書類を紛失してはいけない」と考えたCさんは、大事そうな書類は全てビニール袋に入れて保管していただのですが、ビニール袋がだんだん重くなり,持ち運べないほどの重量になってしまいました。
見かねたピアサポーターがCさんと,リュック・ファイル・ポーチ・手帳・筆記用具の買い物を行い,書類や貴重品の整理と管理,日程の整理と管理を一緒にしてくれました。そのおかげでCさんは自分自身で身の回りの書類をある程度管理できるようになりました。
5,その後のCさん
ピアサポーターの手助けのおかげで無事に新生活をスタートしたCさん。前は困ったことがあっても誰に相談したらいいかわからない状態でしたが、今では分からないことがあると同じマンションのやどかりライフのメンバーに自分から聞きに行けるようになりました。
また、Cさんはお給料をもらった経験がなく、お金を使うことに対して強い不安を持っていましたが、今では自分で買い物をして簡単な料理も作れるようになりました。
今は新たにシェルターに入ってきた人のために,荷物の持ち運びを手伝ってあげたり、退去時の清掃をして下さったりして活躍されています。

6,Cさんのインタビュー
公園で寝泊まりしていた時は、「こじきみたいな真似はしたくないなぁ」と思っていました。でも食べるものもなかったので、どうしようもありませんでした。
お金も全くなく、どうやって食べていこうかなあと不安に思っていたら、福祉事務所の方から「シェルターという所がある」と聞いて、「やっと外で寝ないで済むんだ」ととても嬉しかったです。
やどかりに初めてきて、面談をしたときには食費の立替えもしてもらえて、「助かった」と思いました。シェルターに入った後は福祉事務所担当者から、「お部屋の契約をしたら普通の生活ができる」と聞いて、本当に嬉しかったです。
初めて居場所に誘われた時は、どういうことをするのか分からなかったが、行ってみたら楽しかったです。居場所に参加することで、みなにお返しできればという気持ち。とにかく、そういうことは参加した方がよいと思っています。
今、自分の住居は2階にあるが、足が痛かったので1階か2階がいいという希望を聞いてもらえて安心して生活できています。
これまでは、全く相談できる人がいなかった。「一人でも知り合いがいたらいいな」と思っていました。だけど、今は近くに相談できる人がいて安心できます。自分のペースで生活できるので有難いです。互助活動では「自分ができることはやろう」と思っています。みんな困っている時はお互い様。
「今後は、マイペースに普通に生活できればいいです。ご飯を食べて、困った方のお手伝いをして、そうやって普通の生活ができるのが幸せです。」

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この度九州ろうきん様より,
『~つながろう日置 支え合いを生むための交流会開催およびLINEグループによる安否確認の実現~』
の事業に助成をいただくこととなりました。
やどかりの活動にご支援・ご協力をいただき,本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
やどかりでは居住支援を行っていますが,私たちの力不足もあって,
すべてがうまくいっているわけではありません。
その最も悲しい失敗として,「孤独死」があります。
2022年に日置市にて孤独死されたある方の死を無駄にしないために,行動を起こすこととしたのです。
そして,この活動に対し九州ろうきん様より助成をいただけることとなったのは,
やどかりにとって本当にありがたいことです。
2月18日(土)の第19回九州ろうきん「NPO助成フォーラム」で,
本助成の審査員の方々のご意見をうかがい,他団体の活動についても知ることができました。
ありがとうございました(*^^*)
保証人がいなくても賃貸探しに選択肢を。入居困難の壁にぶつかった人同士、互いに見守り、一人にしない「やどかりサポート鹿児島」の取り組み
NPO法人やどかりサポート鹿児島の居住支援の取組みが,SUUMOジャーナルに掲載されました。
やどかり独自の取組みである,『地域ふくし連帯保証』や『当事者主体の居住支援』,そして『やどかりライフ』について触れていただいています。
是非,ご覧ください。
NPO法人やどかりサポート鹿児島では,令和4年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業を受け
『生活困窮者支援のための当事者主体のシェルター運営事業』を行いました。
そして,その成果を報告するため
2023年2月10日(金)に,シンポジウムを開催しました。
参加申込者数は,全国各地から169名。
シンポジウムでは,NPO法人抱樸の勝氏やNPO法人抱樸互助会・なかまの会世話人の梅田氏をお招きし
抱樸の互助会についてご報告いただいた後,
やどかりの本事業での取組みを報告しました。
また,パネルディスカッションでは
NPO法人知多地域権利擁護支援センター 理事長 及び 全国権利擁護支援ネットワーク 事務局長 今井氏
NPO法人身寄りなし問題研究会 代表 須貝氏にも
オンラインでコメンテーターとして,ご登壇いただきました。
ご参加いただきました皆様,ありがとうございました!
この度,NPO法人やどかりサポート鹿児島は第55回MBC賞を受賞することとなり,
2022年10月7日(金),城山ホテルにて行われた『第55回MBC賞授賞式』に出席させていただきました。
当法人の活動を評価いただき,とても光栄です。
引き続き,皆様の御支援・御協力を賜りながら,
「すべてを失っても,もう一度つながれる社会」を目指して活動を続けていきたいと思います。
皆様,よろしくお願いいたします。