こんにちは!
居住支援法人やどかりサポート鹿児島のスタッフです(^-^)。
今回は実際の居住支援のケースとして、やどかりサポート鹿児島で運営しているシェルターに入居いただいたAさんの事例をご紹介したいと思います。
居住支援法人がどんなことをしているか少しでもご興味を持っていただけたらこんなに嬉しいことはありません。
Aさんがやどかりシェルターを利用することになったきっかけ
50代女性のAさんがやどかりのシェルターに入居することになったきっかけは、居住していた物件の取り壊しでした。
同居していたお母さんが亡くなった後、Aさんは同じ物件に一人で暮らしていましたが、建物の取り壊しのため大家さんから転居をお願いされていました。
Aさんは家賃を1年以上滞納してしまっており、部屋はゴミだらけ。福祉事務所の訪問にも6カ月以上応じていません。
そのため生活保護の停止手続きも進んでいました。
実はAさんは数年間ずっと引きこもり状態になっていて、外に出ることが難しい状態にありました。
大家さんからは1年以上前から「取り壊しのため転居して欲しい」と言われているのに、なかなか転居先を見つけることが出来ません。
現在の家を退去した後の生活をどうしたらいいだろう?
私達やどかりサポート鹿児島は、福祉事務所と連携し、Aさんをやどかりが運営するシェルターに受け入れる事にしました。
Aさんとの最初の面談の様子
やどかりの相談員との最初の面談では,Aさんはずっと下を向いたままで、顔を見せる事は殆どありませんでした。
これからどうしたいか聞いても「別に」「どうせ」といった言葉が返ってきます。
お風呂に6カ月以上入れておらず、生活費の管理も難しそうでした。
しかし何度も面談を重ねていくと、Aさんは自分のことをぽつりぽつりと話してくれるようになりました。
5年ほど前に唯一の身寄りであるお母さんを亡くしてから,きちんと生活していく事が難しくなってきたこと。
子供のころから集団生活の中で「私は周りから浮いているのでは」「私はどこかおかしいのでは」と感じていたと,泣きながら話す時もありました。
ピアサポーターとの関わりで変わってきたAさん
やどかりでは、“やどかりライフ”という“やどかりを利用しているメンバーが互いに助け合う生活”を導入しています。
他のメンバーを助けてくれるメンバーのことを、“ピアサポーター”と呼んでいます。
人と関わるのが苦手だったAさんは、最初はやどかりの専門職である相談員による面談だけを行っていました。
ところがある日、Aさんが急病で倒れた時に、たまたま近くに住んでいたピアサポーターが一緒に救急車に乗って、病院に遅くまで付き添ってくれました。
そして帰宅後に布団から動けないAさんに、食べ物も届けてくれるようになったのです。
その頃から、Aさんに少しずつ変化が表れ始めました。
ピアサポーターの交流会に参加するようになり、やどかりスタッフ以外の人とお話しする事が少しずつ増えていきました。
そして、専門職による生活費の管理や、シェルターを出た後の生活の支援を受け入れてくれるようになっていったのです。
やどかりがAさんに対して行った居住支援
一人暮らしをする際に生活費の使い方や周囲との関りで様々な困難が生じることがあります。
やどかりでは、Aさんのケースに対して以下のような支援を行いました。
①金銭管理
一人暮らしが難しい方の場合、ご本人が「お金の使い方が難しい」と感じている場合があります。
1か月分の生活費を一度にもらってしまうと月末に生活費が足りなくなってしまったり、逆に足りなくなることを恐れ、お金を使うことに過度の不安を感じたりする場合もあるのです。
やどかりではAさんと話し合い,1週間に一度生活費を渡すことになりました。
1か月分まとめて手元にあると月末までに全部使ってしまう人でも、1週間分ずつ分けて渡せば、“月末に全くお金がない”という事態を回避できます。
Aさんの場合、初めは1週間分の管理が難しい時もありましたが,2カ月程度金銭管理を行うと、生活費の追加が必要ない状態になりました。
②精神保健福祉手帳を持つピアサポーターの支援
Aさんとの面談の中で「学生時代から周囲に馴染めなかった」という発言があったため,専門職が心療内科等の病院を受診することを勧めました。
しかしAさんは「障がい者という烙印を押されるのが怖い」と感じていました。
そこで精神保健福祉手帳を持つピアサポーターに面談に同席していただき,
①なぜ手帳を取得したのか
②なぜサービス利用をしているのか
③現在どのようなサービス利用をしているのか
について話をしてもらいました。
このことがきっかけとなり,Aさんは心療内科を受診しました。
そして障害がある人への支援相談をしているやどかりの相談支援専門員とも繋がりができました。
その後のAさん
現在のAさんですが、長い間ひきこもり状態であったことが嘘であるかのように,やどかりライフ参加者の方々と交流されるようになりました。
やどかりが運営している居場所にも積極的に参加されています。
そしてAさんは今ではピアサポーターとしても活躍されています。
以前の自分と同じように困っている人のために買い物支援やシェルターの掃除等などに関わっています。
Aさんのインタビュー
「シェルターに来る前は、「住んでいる家が住めない状態だから引っ越しましょう。自分で引っ越しはできないけど、行政の後押しがあればできますか?」と福祉事務所担当者に言われ、その時に初めてやどかりを知りました。
シェルターというものはテレビなどで知っていましたが、集団生活なのか、どういうお部屋なのかとかが気になりました。
シェルターに入る前に初めてやどかりに来て相談員と面談をした際は、「これから生活を立て直していきたい」と思いました。
しかし、シェルターに入った後は「これからちゃんと生活ができるのかな」と不安になる事もありました。
入居しているときに病気になってしまい、同じマンションのピアサポーターの方に一緒に救急車に乗ってもらった時には、本当にありがたかったです。
それまでは「あまり人と関わりたくない」という気持ちが大きかったのですが、それをきっかけに「必要な時は誰かに助けてもらわないと」と思うようになりました。
また、自分自身も「誰かの役に立ちたい」とも考えるようになりました。
新しい部屋の契約をして、引越しをしたときは、お風呂があって広い部屋に入れてとてもうれしかったです。
また、腰も痛かったのでベッドもついていて生活が楽になりました。
以前の住居の時はお風呂がなかったので銭湯に行かなければならず、足が遠のいていましたが、今は週に2、3回はお風呂に入るかシャワーを浴びて清潔にできています。
また、やどかりライフ参加者の方と一緒に自宅で料理をして食事をする機会もあります。
自分がこんなに変わるとは思ってもいませんでした。
近くに相談できる方もいるし、互助会にも参加し非常に充実しています。」
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