ーやどかりブログー 突然の病気の後遺症で、家庭と仕事を失ってしまった中年男性の居住支援 

こんにちは!やどかりサポート鹿児島のスタッフです。 

皆さんは生活保護制度についてどのようなイメージを持たれていますか? 

このブログを書いている2023年5月12日現在、厚生労働省「生活保護の被保険者調査(令和5年2月概数)」によれば、生活保護の被保護者人数は2百万2万1614人(令和5年2月のデータ)。
実に100人当たり1.62%人の方が生活保護を受けていることになります。 

これだけ利用者が多い制度だと、受給理由も実に人それぞれ。
やどかりサポートで働いているスタッフとしては、様々な方を支えている制度であることを毎日実感しています。 

今回は、家庭もあり仕事も持たれていましたが、突然の病気で障害が残り、居住支援をさせていただいた男性のケースをご紹介いたします。 

目次

1,Bさんがやどかりシェルターを利用することになったきっかけ

Bさんは建設業界で働く中年男性。夫婦で子育てをしながら、難病を抱えた親族の入院の面倒を見るなど、忙しい日々を過ごしていました。 

ある日突然右半身が麻痺し、体に力が入りません。病院を受診すると、原因は脳の病気で、後遺症として麻痺が残ると言われてしまいました。 

歩くことはできますが、現場で働くことは難しく、休職を余儀なくされました。 

Bさんは家族で賃貸住宅に暮らしていましたが、収入がないので家賃が払えません。そればかりか今まで面倒を見ていた親族の治療費も払えなくなってしまいました。 

次第に貯蓄も底をつき、大家さんからは「退去してほしい」と言われました。しかし次の入居先が見つけることができません。困ったBさんは公的機関に相談、そこでやどかりサポート鹿児島のことを聞き、事務所に訪れたのです。 

2,Bさんとの最初の面談の様子 

面談に訪れた際にBさんは、とても憔悴していました。 

Bさんは貯蓄が無くなった時点で限界を感じ、生活保護を申請していました。しかし家賃滞納と親戚の医療費で、債務額は数百万円に膨れ上がってしまっています。
「何とかお金を返したい」と食事を限界まで切り詰めたせいで、Bさんはげっそりと痩せてしまっていました。 

更に追い打ちをかけるような出来事もありました。Bさんの状況に希望を持てなくなった家族から、もう一緒に暮らすことはできない、子供を連れて出ていく…と伝えられていたのです。 
家を出た後は、子供たちは母親と、Bさんは別々に暮らすことになってしまいます。 

これまで家族一緒に暮らしてきたBさんにはとてもショックな事でした。 

やどかりでは、家も家族も失ってしまったBさんをシェルターに受け入れて、一緒に新しい物件を探すことにしました。 

3,やどかりがBさんに対して行った支援  

①自宅からの退去のお手伝い 

Bさんは病気の後遺症によるマヒのため、重い物を持つことが出来ません。自分だけでは引っ越しが難しいので、荷物の移動やの前の家の片付けを、限られた予算内で業者に頼む必要がありました。 

やどかりではいくつかの業者に相談し、厳しい予算内で引っ越しができないか見積もってもらいました。こうして決まった業者が家財の処分と荷物運びをしてくれて、Bさんは無事お部屋を退去する事が出来ました。 

②シェルターへの受け入れ 

やどかりはBさんに一時的にシェルターに入居してもらい、その間に新居を探すことにしました。 

シェルターはタオルやシャンプー、布団などもあるので、身一つで転がり込んでも生活していく事が出来ます。他団体から寄付していただいた食料をBさんに届けて、体を休めるように伝えました。 

③携帯電話の貸し出し 

Bさんの電話は料金を滞納してしまったため、使用に制限がかかっています。家賃滞納と医療費の滞納でBさんの債務は膨らみ続けていますが、電話が使えないと弁護士に連絡できません。 

やどかりはBさんに携帯電話を貸し出し、外部と連絡が取れるようにしました。弁護士と話せるようになったことで、シェルター入居中も債務整理に必要な手続きを進めることが可能になりました。 

NHKや電力会社への解約手続きも少しずつ進めていきました。 

入居先探しの支援 

Bさんは病気の後遺症で体が不自由になってしまい、長い時間歩いたり階段を上ったりができません。一人で暮らしていくためには駅やスーパーが近くにある物件を探す必要がありました。 

やどかりサポート鹿児島ではBさんが住みやすそうな物件を探し、駅から徒歩10分以内で、スーパーや居場所サロンも近い物件を見つけることが出来ました。 

4,ピアサポーターからのお誘いで居場所に参加するようになったBさん 

新居に入居された後、Bさんは同じくらいの年代の男性のピアサポーターから声をかけられて、やどかりサポートの居場所サロンに少しずつ参加するようになりました。 

「人と関わるのが少し苦手」とおっしゃっていたBさんでしたが、近くに住んでいる友達に誘われクリスマス会にも出席しました。 

生活も少しずつ落ち着き、リスタート・ケータイという過去に携帯電話の未払記録を出してしまった人でも契約できる携帯電話を申し込みました。 

5,その後のBさん  

「家族と一緒に暮らさなくなってから、1人の時に何もすることがなく、気が付くとタバコを吸ってしまっている時がある」とのこと。 

「ご飯もしっかり食べてくださいね」と声を掛けたら、「仕事を始めたらタバコも減るだろう。この間ハローワークの職員と面談もした。早く働きたい」と仰っていました。 

家族がいる人が突然働けなくなってしまった時に、それまで何の問題もなく支払っていた居住費や通信費などが突然払えなくなってしまい、家や家族さえ失ってしまう場合があります。 

そんな時、最後のセーフティネットとなって支えてくれる生活保護制度は、命を守るためにとても重要な制度だと思います。 

実際に、生活保護受給世帯の中には障害者・傷病者の割合が25.1%と大きな割合を占めています。 

働き盛りだったのに、突然の病気で急激な環境の変化に直面されたBさん。 

Bさんが自分自身の居場所を取り戻していけるよう、今後も伴走支援を続けていきたいと感じました。


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この記事を書いた人

©YADOKARI SUPPORT KAGOSHIMA.
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