ーやどかりブログー 給料をもらったことのなかった60代男性。初めての一人暮らし

こんにちは!はじめまして。

居住支援法人やどかりサポート鹿児島のスタッフです(^-^)。  

ここ数年で知名度が上がってきた“居住支援”という言葉ですが、具体的にどんなことをしているのか…なかなか想像が難しいのではないでしょうか? 

「“居住”を“支援”するって、一体どういうことなの???」と思われる方が多いのではないかと思います。  

今回は実際の居住支援のケースとして、やどかりサポート鹿児島で運営しているシェルターに入居いただいた60代のCさんの事例をご紹介したいと思います。

“会社に勤め寮で寝泊まりしていたが、給料をもらったことがなかった” というケースです。

目次

1,Cさんがやどかりシェルターを利用することになったきっかけ

60代のCさんは仕事先の寮に居住していましたが、解雇されてしまい、仕事と同時に住居も失ってしまいました。

寮を追い出されてからは1週間ほど公園で寝泊まりしていましたが、足の痛みなどがあり体調の良くないCさんにはとても辛い事でした。

以前の知人を訪ねて困った状況を相談し、福祉事務所に生活保護の申請をすることになりました。

福祉事務所からやどかりサポート鹿児島に電話相談があり、Cさんは入居先が見つかるまでの間、やどかりの運営しているシェルターに入居することとなりました。

2,Cさんとの最初の面談の様子

面談ではCさんは前の仕事の状況について「通帳は雇用主が持っている」「給料はもらっていなかった」「食事はお弁当が出ていた」「自分で自由に使えるお金はなかった」とお話してくれました。

“寮”といっても実際は会社の事務所の一角で寝泊まりをしていた様子でした。

専門職の見立てでは、「Cさんは雇用先から搾取されていたのでは?」とのことでしたが、Cさん自身には搾取を受けていた自覚がありません。また、これまで困ったことが生じても相談する先が分からなかったようでした。

Cさんは生活保護の申請は行ったものの、申請したことにより生活がどのように変化していくのか理解が追いつかず、今後の生活に非常に強い不安を抱えていました。

相談員が説明するものの、Cさんにとっては全てが初めての体験であり、なかなか理解することができません。Cさんの希望を聞きながら、少しずつ進んでいく方針になりました。

3,やどかりからCさんに対して行った支援

①金銭管理

今までお給料をもらったことがなく、食事も全て勤め先から支給されていたというCさん。「お金は全部自分が持っていると不安」との本人の相談から,月の生活費を週ごとなどで分割してCさんにお渡しすることを提案しました。分割して渡せば一気に全額使ってしまう不安がなくなるからです。

C氏も「その方が安心」とのことだったので,専門職による金銭管理が行われることになりました。

②Cさんを“やどかりライフ” や“ピアサポーター” と繋ぐ

やどかりサポート鹿児島では“やどかりライフ”というやどかりを利用しているメンバーがお互いに助け合う生活を導入しています。

他のメンバーを助けてくれるメンバーのことを“ピアサポーター”と呼んでいます。

やどかりはCさんを近所の“やどかりライフ”のメンバーに紹介し、Cさんが一人暮らしの中で気軽に相談できる相手と繋がれる環境を整えることにしました。

4,Cさんに対するピアサポーターたちのお手伝い

Cさんはこれまで一人暮らしをしたことがなく、携帯電話を持っていません。体調も崩していて、足が痛くて思うように歩けず、メガネの度数もあっていませんでした。一人で色々な手続きを行うのが難しい状態です。

やどかりではピアサポーターにCさんの新生活準備のお手伝いをお願いすることにしました。

具体的には以下のようなお手伝いが行われました。

①「生活保護ってなに?今後の暮らしはどうなるの?」というCさんの不安の解消

Cさんは、生活保護申請を行ったものの、今後自分がどのようになるのか想像できず、強い不安を抱いていました。

そこで、以前にやどかりサポート鹿児島の支援を受けて生活保護を受給し生活した経験のあるピアサポーターに、自分の経験や生活保護の手続きの流れ、今後の生活について説明をしてもらいました。

 Cさんの希望で、生活保護開始説明や受け取りの際もピアサポーターが同行しました。

②電話を持たないCさんと、福祉事務所、やどかりサポート鹿児島とのつなぎ役

携帯電話を持っていなかったCさん。シェルターとやどかり事務所の場所は離れていたのでやどかりの携帯電話を貸し出すことをお勧めしたのですが、Cさんは「電話機を壊すのが怖い」怯えます。

そこでCさんへの連絡調整は、同じマンションのやどかりライフ参加者の方々を通じ、“伝言”で行うことになりました。

やどかりから電話を持っているメンバーに電話し、そこからCさんに伝言してもらうという流れです。

③福祉事務所・当法人・年金事務所・銀行への同行

これまで他の町で生活をしており、電車やバスを利用した経験が少なかったCさん。シェルター入居当初は、やどかりの事務所まで一人で電車を使って面談に来たり、役所へ手続きに行ったりすることが困難でした。

ピアサポーターが一緒に行って電車やバスの乗り方を教え、手続きにも同行することで、年金手続きや住民票の移動をクリアする事が出来ました。

④書類の整理の手助け

Cさんとお話を重ねる中で、Cさんには漢字の読み書きに困難があることが明らかになってきました。新しい物件への入居に向けた様々な手続きや契約が進むと書類が増えてきますが、専門職が「〇〇の書類を出してください」とお伝えしても、本人がどれがどの書類であるか分からないので困ってしまいます。

「書類を紛失してはいけない」と考えたCさんは、大事そうな書類は全てビニール袋に入れて保管していただのですが、ビニール袋がだんだん重くなり,持ち運べないほどの重量になってしまいました。

見かねたピアサポーターがCさんと,リュック・ファイル・ポーチ・手帳・筆記用具の買い物を行い,書類や貴重品の整理と管理,日程の整理と管理を一緒にしてくれました。そのおかげでCさんは自分自身で身の回りの書類をある程度管理できるようになりました。

5,その後のCさん

ピアサポーターの手助けのおかげで無事に新生活をスタートしたCさん。前は困ったことがあっても誰に相談したらいいかわからない状態でしたが、今では分からないことがあると同じマンションのやどかりライフのメンバーに自分から聞きに行けるようになりました。 

また、Cさんはお給料をもらった経験がなく、お金を使うことに対して強い不安を持っていましたが、今では自分で買い物をして簡単な料理も作れるようになりました。 

 今は新たにシェルターに入ってきた人のために,荷物の持ち運びを手伝ってあげたり、退去時の清掃をして下さったりして活躍されています。

6,Cさんのインタビュー

公園で寝泊まりしていた時は、「こじきみたいな真似はしたくないなぁ」と思っていました。でも食べるものもなかったので、どうしようもありませんでした。

お金も全くなく、どうやって食べていこうかなあと不安に思っていたら、福祉事務所の方から「シェルターという所がある」と聞いて、「やっと外で寝ないで済むんだ」ととても嬉しかったです。

やどかりに初めてきて、面談をしたときには食費の立替えもしてもらえて、「助かった」と思いました。シェルターに入った後は福祉事務所担当者から、「お部屋の契約をしたら普通の生活ができる」と聞いて、本当に嬉しかったです。

初めて居場所に誘われた時は、どういうことをするのか分からなかったが、行ってみたら楽しかったです。居場所に参加することで、みなにお返しできればという気持ち。とにかく、そういうことは参加した方がよいと思っています。

今、自分の住居は2階にあるが、足が痛かったので1階か2階がいいという希望を聞いてもらえて安心して生活できています。

これまでは、全く相談できる人がいなかった。「一人でも知り合いがいたらいいな」と思っていました。だけど、今は近くに相談できる人がいて安心できます。自分のペースで生活できるので有難いです。互助活動では「自分ができることはやろう」と思っています。みんな困っている時はお互い様。

「今後は、マイペースに普通に生活できればいいです。ご飯を食べて、困った方のお手伝いをして、そうやって普通の生活ができるのが幸せです。」

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